まごころのぶ

2021年1月10日に急逝した愛する「のぶ」の生きた足跡です

day137 「大豆田とわ子と3人の元夫」

 現在放送されている、坂元裕二脚本のドラマ、「大豆田とわ子と3人の元夫」。

 

まるで舞台劇のような悲劇をはらんだ喜劇だけど、この物語には喪失感というテーマがある。もちろんヒロインの大豆田とわ子が3人の男性と結婚して3回とも離婚していることがメインストリートでもあるけど、彼女には日々、さまざまな出会いや別れが訪れる。3人の元夫とのそれぞれの別れを含め、とわ子はなんとかクリアして生きてきたのだけど、先日の放送(第6話)の親友かごめとの別れは、まったくクリアのできない喪失感として、彼女の中に1年たっても影を落とし続けている。

 

それは、かごめの死が、突然の死だったからだ。

 

3人の元夫たちは、法的な別離をしてもかなりの頻度でとわ子の周辺に存在する。受験のために家を出たとわ子の娘も、実家に下宿しているので永遠の別れではない。かごめの死の少し前にとわ子は実の母親の死にも面するけど、それは受け止めていた。

 

でも、わずか40歳、心筋梗塞で突然姿を消した幼な馴染みのかごめの死に、とわ子は納得いっていない。もともとかごめはちょっと不思議な女性で、世間から見たらちょっとダメな人なんであるけど、とわ子の欠点を補てんするような真逆の存在だった。しかも最初の夫との離婚理由にもなった(かごめは恋愛否定のアセクシャルな人で、夫の完全なる片思いだった)けど大好きな親友だから気持ちは複雑。とわ子は、かごめが死んだことをどこかで信じていないようだ。もちろんお葬式に出た。納骨も見た。でも、ふとした日常に、どこかに居るんだと感じてしまう。

 

もう、これは、愛する人を突然失った人のあるあるなんだと思う。

 

坂元裕二の脚本はいつも、はっきりと物事が言葉や行動で明示されるわけではない。でも届く人には刺さるほど届く。

 

物語の中、かごめの死から1年後に出会った男にそのことを話してしまうと、彼は、「過去は過ぎ去ったものじゃなくて、今でも並行して、居る」というようなことを言う。これは、私にとっても慰められれた言葉だ。(ドラマではこの男はのちにヤバイ人だとわかるけど…)。

 

大好きな人を突然失った喪失感や言葉にならないモヤモヤ感、まだ存在していると思ってしまうフワフワした感じをうまく映像で表してくれてありがとう。