まごころのぶ

2021年1月10日に急逝した愛する「のぶ」の生きた足跡です

day87 捨てる

浜松でのぶと暮らしていたマンション。

 

のぶがここで突然亡くなって、私はここに帰ることが出来なくなった。のぶの眼鏡もスマホもいつも座っているソファの脇にあって、まだそこにのぶが居るみたいだった。

 

病院で亡骸と対面後、葬儀社に搬送され、その後クタクタに疲れた体と心で、私は65km離れた夜のアトリエまで車を運転して帰った。

 

それからあの部屋に入ったのは3回ほど。葬儀社で紹介してもらった遺品整理の業者にお願いして、全てを片付けてもらう(つまり廃棄する)手続きをとった。立ち会わなくてもいい、ゴミも何もそのままでいいと言うことだった。

 

さすがに自分の仕事の道具や貴重品は持って出たけど、ほとんどを捨ててしまった。家具も家電も洋服も、のぶの思い出も全て。

 

その時はそれでいいと思ったけど、じわじわと、もうちょっと取っておいた方が良かったかもしれないと思う。強欲というよりも、あまりにも寂しい。このアトリエはのぶの痕跡がほとんどない。

 

お金で買い直せるものはまだいい。のぶのものは取っておいても悲しくなるだけだし、のぶはもう物質というもの全てから解放されたのだ。でも、捨てすぎたかもしれない。

 

もう考えてもどうしようもないのだけど。