21日目。日曜日
日曜日は嫌い。怖い。
のぶが亡くなったのは日曜日の正午まえ。
私はいつものように呑気に、ラジオの好きな番組を聴いていた。日曜日はいつもそう。あまり日曜日は出かけなかったけど、ここ1年はこういう社会情勢もあってほとんど出かけることはなく、私は日曜の午前中はラジオを聴きながら自宅で仕事をしていた。のぶはたいてい朝9時頃から自分の好きな事をしに家を出て(散歩やら実家やら図書館やらに行っていたと思う)、正午まえに帰って来た。そのあとランチ。家で食べることもあったけど、近所にプラッと食べに行くこともよくあって、ちょうど良い息抜きだった。
もう、そういう日常は戻ってこないんだろうな。私はこの先ずっとおひとり様だ。外食に行くこともぐっと減るだろうか。寂しいな。まだまだ行ってみたいご飯屋さんはたくさんあったのに。
もちろんのぶが居なくなった事の無念さは数え切れないくらいあるけど、2人でご飯を食べる事がもっともわかりやすい幸せだったと思う。
のぶもいつも、私と2人だから食べられたものがたくさんあると言っていた。独身のおじさんだったら来ないような場所にも来れたと言っていた。それはお互い良かったと思う。普段それほどの贅沢はしなかったけど、週に一度の一人1000円くらいのランチが楽しみだった。たった3週しか経っていないのに、もう遠い昔のように懐かしい。
向こうの世界でお腹空かしてないよね。いちおう祭壇に毎日3食ご飯をお供えしているけど、のぶの好きなお刺身やカツ丼やハンバーグはあげられないらしいんだ(精進料理じゃないといけないらしい)。好きなものあげちゃダメかな。いつもお腹いっぱいたくさん食べるのぶが好きだった。
私が代わりに食べれば良いんだろうけど、そんな食欲もないし、このまま痩せてしまえばいいとか、変な事考えてる。のぶの魂がポンっと私の中に入ってしまえばいいのに。そんな芸当は出来ないんだろうか?
多くの愛する人を亡くした人が、どうやったらまた会えるんだろうとか、いろいろ考えて来たでしょうね。
もう、同化しちゃったと考えるのが一番都合がいいよね。虚しいけどな。