まごころのぶ

2021年1月10日に急逝した愛する「のぶ」の生きた足跡です

day229 S氏へ

ようやく義実家の解体が終わり、土地を所有者に返すことができました。これで本当に私の仕事は終わりました。こんなに困難とは思いませんでした。


もちろんお金のこともありました。夫の最期の1年は働くことができなかったため収入がなく、大変な思いをしました。私もコロナで主な仕事を失いました。突然の夫の死後、本当にさまざまなお金が必要でした。救急処置費を皮切りに、葬儀や四十九日法要、仏壇などの供養にかかるお金、夫が亡くなったマンションからの退去、遺品整理、絶え間なく届く請求書、そのうえで、仕事を失った私は毎日、たった一人でさまざまな事後処理に追われ、泣く暇もなく、夫の突然の死を受け入れる余裕もなく、日々を虚無感に襲われながら過ごしてきました。

 

ようやく義実家の解体と土地の返却の手続き着手までに、5か月もかかってしまいました。ただ、私は立ち直ったわけではありません。辛さと孤独感は日々募るばかりですが、現実という壁が否応なく襲ってくるからです。夫はお金がなく、借地の代金を払っていませんでした。空き家になった義実家は、放っておくだけで、月々4万円ほどかかってしまうのです。借金が膨らむばかりなので、解体・返却のために体を起こさないとなりませんでした。

 

貴方には、夫が亡くなった今年1月の時点で、解体の件は伝えています。夫の初盆くらいに解体したいから貸している部屋の退去をお願いしたいと。それを伝えたとき、あなたは夫への弔いの言葉より先に、自分が「困った」、と言いましたね。貴方は6か月も何もしないままでした。

 

私はあなたによく似た人を知っています。

 

夫と私は、誰かの助けが必要だったのです。誰も助けてくれなかった。夫は失意の中、亡くなりました。私の心も死にました。

 

あなたは自分のことばかり主張します。私たちの地獄など、思いもよらなかったでしょう。本当なら、夫とは旧知の貴方がもっと協力的だったらこの困難はもっとスムーズに行ったはずです。あなたはただただ、自分が苦労したくない、金も時間も出したくないというエゴイズム・メソッドに乗っ取って進める事だけに固執しました。死んだ夫と生きている私を苦しめ続けたのです。やっぱり出て行かないとゴネて、あわよくばと、金銭を要求する行為をしたのです。

 

貴方のお母さんはずいぶん苦労されたと聞きました。あなたのお父さんは自由奔放に生き、借金を残し、失踪したと聞いています。その後、貴方も荒れ、家に帰らなかったんですよね。貴方も不幸な生い立ちだと思いますが、なぜお母さんを守らなかったのでしょうか。お母さんを守れるのはあなただけだったでしょうに。夫の母は、貴方のお母さんをずいぶん助けたんですよね。お金も良く貸したと聞いています。助け合っていたんですよね?

 

貴方は貴方の父親にそっくりですよ。自分勝手に生き、自分中心に考え、他人を踏みにじってもなんとも思わない。

 

夫が貴方を毛嫌いしていたのが今ならよくわかります。6年前、お母さんが出て行かれた時に賃貸契約を解除するのが本当でした。でも、夫はあの部屋を“よしみで”倉庫として貸し続けることを了承したのです。その優しい心を踏みにじったのです。私は貴方には怒りしか感じません。川合家の最後の一人として、残念でなりません。貴方が少しでも「自分の利益」よりも夫の死に哀悼を示したら、私は解体や退去にかかるすべての費用を出すつもりでした。あなたの目先の強欲さが、のちの利益や信頼、人望を失ったのですよ。


人は変わらないです。貴方はこれからも出会う人達の心を踏みにじり、その残骸の上に胡坐をかいて惨めに生きていくのでしょう。

 

義実家の解体と返却が終わり、私は大きな借金を背負いました。いつまでも私の実家に居座ることもできません。借金を返すために身辺を整理し、生きていきます。この文章を読んだら、貴方のアカウントや連絡先はすべて消しますので、貴方も私の連絡先はすべて消去をお願いします。