まごころのぶ

2021年1月10日に急逝した愛する「のぶ」の生きた足跡です

day192 義実家

先週、空き家になっているのぶの実家の解体の業者に現地を見てもらい、3社ほどから見積もりを送ってもらった。その中から折り合いがつきそうな業者を決め、現在、契約書を製作中。

ようやく、のぶが遺した最大の負の遺産が整理できそうだ…と思っていたら、また、面倒が起きた。


のぶの実家は借地に建っている。母屋と1ルームの長屋2つ。一つはのぶの部屋として使われていて、一つは親戚ではないお婆さんに貸していた。ただしこの人は6年ほど前に高齢者介護施設に入ったので実質は空き家、そこからは「物置」として息子さんが家賃を払っている。現在も変わらない。その息子さんとは8月15日までに退去の話がついていて、解体も8月16日から始まる予定。

(だいたい退去の話も忙しいだとかお金がないだとかずいぶんとゴネられてしまい、かなり条件を出してようやく折り合いがついた。借地なので私も借地代を払っていて、その「物置」の家賃では賄えない金額なのです)

ところがその息子さんから連絡があり、電気が使えなくなっていると怒りの連絡。

電気代はそれぞれが契約しているけど、もしかしたらと思い当たることがあった。先週、中部電力廃線の届けを出したのだ。

家屋解体はほとんどの作業を解体業者に任せられるけど、家主でなければできないことがたくさんある。主にライフラインの解約(と廃止)と、滅失登記申請、近隣へのあいさつなど。電気の引き込み線の撤去を電話で依頼したのだけど、8月16日以降とお願いしていたのにもかかわらず、もう撤去してしまったらしい。だから電気が使えないのは当然で、私は中部電力に確認の電話をしたのだが、撤去した線を戻すのは無理だという。

仕方がないで、息子さんにそう伝え、退去の荷物整理は明るいうち、昼間にやってもらうようにお願いした。でも、怒りが収まらずに辟易…。中部電力の方にお願いして、説明の電話も直接してもらったけどダメ。

思えばその人は、すべて自分の都合で退去を伸ばしてきた。1月ののぶが亡くなった月に退去をお願いしたけど、いきなりでは無理だろうから7月の初盆まで半年待つと譲った。半年の間、5月の大型連中だってあった。なのにまだ何も片づけていないから、8月のお盆休み以降にして、必要なもの以外は置いていくからそっちで処分して、と言って、びっくりしたけど、こちらも仕方なく折り合った(解体業者はタンスなどの可燃物は処分してくれるはず)。

息子さんが言うのは自分の都合のことばかりだ。時間がない、仕事が忙しい、業者に頼むのは嫌だ、金がない、こっちは家賃払ってんだ、電気を戻せ…。

私も戻せるものなら戻したい。でも戻らないもんは仕方ないんだよ。私は時を戻して、のぶの死をなかったことにして欲しいんだよ。

彼は私よりずっとのぶを知っているし、付き合いは長い。たぶん中学生くらいから知っていると思う。年齢も近い。幼馴染と言っていい。

私はその人をあまりよく知らないので、のぶの死ことは詳細には伝えていない。でも、今回は誰にも伝えていない本当のことを話した。40年ものぶを知っている彼なら話すべきだろう。のぶの死を詳しく語ると、私の行き地獄も同時に話すことになる。のぶは逝き、私は地獄に残された。残されたものは逝った人の後始末を任される。いまはその任務遂行の最中なのだ。あれだけ私を罵倒していた彼も、さすがに何も言わなくなった。いつまたエゴイズムが発動されるかどうかわからないけど、ハッタリでもつくり話もない本当のことだから。まだ全部の地獄は話してないから。

とにかく、義実家の解体が終わり、大家さんに返し、滅失登記を済ませるまで、無事に終わりますように、9月までに終わりますように。暑い夏を越せますように。