day177
私は自分の責任に向き合っていない。
のぶと出会い、のぶを幸せにすると誓ったことへの責任だ。まったく果たされていない。それどころかのぶを追い詰めて不幸にしてしまった。
のぶとは出会わなかった方が、のぶにとって幸せではなかっただろうか。のぶの最期の10年を私が奪ってしまったのではないか。のぶは本当ならどこかで幸せに生きていたかもしれない。
のぶがこの世からいなくなってしまったのは、私にとっての罰なのでは。のぶを死なせてしまったことの罪を償って生きるしか私には許されていないのではないだろうか。
のぶは仕事に復帰などしたくなかったのだ。私が責め立てて、復帰すると心にはないことを言っていたのだろう。私が怒るから、本当のことを言わなかった。私はずっとのぶの本当の心を見せてもらえなかった。私が信用ならない鬼だったからだ。
のぶの幸せを願って、早く自分から身を引けばよかった。どこかに行ってしまえばよかった。死んでしまえばよかった。
病気を一緒に治そう、なんて余計なお世話だったのだ。
遺されて、生きている方が辛いに決まっている。懲役刑ではなく、毎日ただただ辛い思いをすることが私に課されている。
もうのぶはいないから、なにも聞くことができない。
何も残さずに逝ってしまった。
私には何も残されていない。