day 162 夏至
季節はめぐる。あんなに寒かったのにすでに夏になっている。
のぶは数字に強かった。特に日付やら時間の記憶力が良く、例えば「去年の夏至は6月20日で何曜日だった」とか、自動車のナンバーよく覚えていて「あの車さっきどこそこにいた車のナンバーと同じだ」とか、数字に弱い私には天才に思えた。
そういえば、のぶの体調不良の原因を探してドクターショッピングをしている時期、紹介で浜松医大で脳の検査を受けたことがあった。テストの内容はわからないけど、適性検査のようなもので、成人の発達障害や適応障害の傾向が判断されるものだったらしい。
結果、のぶは28年やっていた仕事内容にあまり向いていないらしい。ひとつのことにこだわりが強く、考えすぎの傾向があり、若干発達障害の傾向があると言われた。
仕事に性格が向いていないからと言って28年勤めた仕事を急に辞めるわけにはいかない、とその時は思った。それに、発達障害について無知な私はあまり気にしていなかった。でも、もしかしたらあの時真剣にのぶの仕事適正にもっと真剣に向き合っていたら、と思う。あまりにも医者によって言うことがまちまちだったので、この時はもう医者不信みたいものがあった。
のぶの脳内は宇宙だったに違いない。私は天才だと思ってた。それで良いよね。