day218 Numb
私の押しのPSBが歌った曲の中には、死をテーマにした曲が何曲かある。そのなかで、珍しくPSB自身が作った曲ではなく、アメリカのヒットメイカー、Diane Warrenの書下ろしの「Numb」という曲がある。
Numbというのは虚無、無感覚、という意味。
この曲はDianeの母親が亡くなった際のことを思い出して書かれたという。愛する家族の死を受けて、「無感覚になりたい」と歌っている。何も知りたくない、見たくない、感じたくない。世の中に数多くの歌があるけど、「Numb=無」というのが、今回の私のケースの感覚に最も近い。
何を見ても五官が鈍くなり、何を見ても聞いても食べても感じなく、眠るのも苦痛だった。さすがにいまは、のぶの死から時間が経つにつれだんだん戻っては来たものの、やはり何割かは無感覚だ。
ただ、のぶが亡くなってから、まだこの曲を聴いていない。頭の中で再生されるだけだ。
ずっと脳内でNumbが再生されていたのだけど、毎日、般若心経を写経していて、毎日、「南無」という言葉を唱えている。
音は同じだ。
般若心経を一言でいえば、「無」。
(本来「南無」は呼びかけの意味で、「無」という意味そのものではないけど)
私はただただ、無を生きているんだろうな。
人間が考えた救い…例えば、死んだ人はいつもそばにいるとか、お盆に帰ってくるとか、天国に行くとか地獄に行くとか、守護神になるとか…は、すべて私にはピンとこない。のぶは彼の希望通り、無になったとしか思えない。
それはおそらく良い事なんだと思う。のぶにとっては。
私は今後も「無」を感じていくしかない。「無」だから、感じることすらないのだけど。