まごころのぶ

2021年1月10日に急逝した愛する「のぶ」の生きた足跡です

day149 生き残った人たち

死を連想させる歌はなかなか受け入れがたかった。でも、昨日書いた宇多田ヒカルさんの母へのレクイエムは自然と聴くことができた。これは私にとっても小さな進歩だと思う。なにせ今日まで、ここに彼らのことを書くことさえできなかったのだから。

 

私の推しの音楽は苦しくて聴けなかったけど、少しずつ聴けるようになってきた。本当は、苦しい時にいつも寄り添ってきてくれた曲を聴きたいのだけど、以前、かなり辛い時に聴いたらどん底まで落ちた経験があるので、曲を選ぶかもしれない。

 

PSBはめちゃくちゃテンションをアゲる曲もあれば、人生の空しさを語るような曲もある。思えば彼らも活動35年のうち、悲しい別れや辛い経験を歌にしてきた(先日発表された新曲はニールの亡くなったお母さんについてだった)。


歌はまだ聴けなくても、考えてみたいと思う。偉大な音楽家の彼らも、愛する人の死に面した時に、苦悩し、立ち止まり、作品に昇華し、立ち上がってきた。真似できるかどうかはわからないけど、同化してみたい。

 

「Being boreing」(1990)

 

まずこの曲が、”愛する人の死について歌った曲”としてもっともファンに愛されている曲。ニールの、亡くなった高校時代からの親友を思い出す曲。亡くなった、とは直接言っていないところが悲しみをより深くさせる。友は戻らない青春そのものだった。とても悲しく美しい曲。


アルバムレビューBehaviour

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「Paninaro 95」(1995)

1986年にB面曲「Paninaro」に、クリスの長年の恋人が亡くなった後にラップ部分を加えて「Paninaro 95」としてDiscoveryツアーで発表(後にシングル化)。ディスコ曲だけど、ラップ部分は、普段歌詞を書かないクリスの心が現れている希少な曲。数百曲あるPSBの曲のうち、クリスがボーカルをとるたった3曲のうちの一つで、パフォーマンスするには それほどの意味があるということでしょう。

 

アルバムレビューBilingual

 

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「The survivors」(1996)

ニールの親友、クリスの恋人、80~90年代のエイズ禍でたくさんの友人知人たちを失い、彼らは自分たちを「Survivors(生き残り)」と言う。その喪失感や痛みの中で彼らを悼み、立ち上がり、歩いていく姿は彼らの分まで生きていくという決意のように思える。


アルバムレビューBilingual

 

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「It's a sin / I will survive」(1996)


彼らの名曲「It's a sin」(1987)に、グロリア・ゲイナーのディスコ・クラシック「I will survive」をリミックスしDiscoveryツアーで披露されたもの。”それは罪、でも生きていく”。罪の意識と、それでも強かに生きていくという、人間の業をアゲアゲのディスコサウンドに乗せた、ある種の痛快ささえあるミックス。ニールはまるで悪魔が教皇に化けているみたいで罰当たりさも最高。

アルバムレビューActually

 

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「Requiem in denim and leopardskin」(2012)

彼らの、亡くなったスタイリストである友人に捧げた曲。とにかく優しい。アルバム「Elysium」の最後の曲。ファンにはあまり評価の良くないアルバムだけど、私は好きで、のぶとの結婚式の後の食事会のBGMで使わせてもらった。私は結婚式は恥ずかしいからやらなくていいと言ったのだけど、一生に一度の記念になるからとのぶに言われてやることになった(のぶはやりたかったんだと思う)。BGMはすべて私の希望でPSBにしてくれた。その通りに、一生心に残る思い出になった。のぶ、ありがとう。忘れないよ。 

 

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