まごころのぶ

2021年1月10日に急逝した愛する「のぶ」の生きた足跡です

day87 捨てる

浜松でのぶと暮らしていたマンション。

 

のぶがここで突然亡くなって、私はここに帰ることが出来なくなった。のぶの眼鏡もスマホもいつも座っているソファの脇にあって、まだそこにのぶが居るみたいだった。

 

病院で亡骸と対面後、葬儀社に搬送され、その後クタクタに疲れた体と心で、私は65km離れた夜のアトリエまで車を運転して帰った。

 

それからあの部屋に入ったのは3回ほど。葬儀社で紹介してもらった遺品整理の業者にお願いして、全てを片付けてもらう(つまり廃棄する)手続きをとった。立ち会わなくてもいい、ゴミも何もそのままでいいと言うことだった。

 

さすがに自分の仕事の道具や貴重品は持って出たけど、ほとんどを捨ててしまった。家具も家電も洋服も、のぶの思い出も全て。

 

その時はそれでいいと思ったけど、じわじわと、もうちょっと取っておいた方が良かったかもしれないと思う。強欲というよりも、あまりにも寂しい。このアトリエはのぶの痕跡がほとんどない。

 

お金で買い直せるものはまだいい。のぶのものは取っておいても悲しくなるだけだし、のぶはもう物質というもの全てから解放されたのだ。でも、捨てすぎたかもしれない。

 

もう考えてもどうしようもないのだけど。

day86 しょうた誕生日

今日はうちの黒猫、しょうたの3歳の誕生日。

 

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浜松市の動物保護センターにいる時は、推定2018年4月上旬生まれだったのですが、「足して10になる数字は縁起がいい」とのぶが言うので、4月6日生まれになりました。

 

しょうたの前に飼っていた黒猫のショコラは2017年12月3日に心臓病で1年ほど闘病して亡くなっていて、私はペットロスに陥っていたのですが、それなら黒猫の仔猫を迎えようとのぶが言ってくれて、7月に生後3ヶ月のしょうたを迎えました。

 

のぶは私と出会うまで犬しか飼ったことがなく、猫はほとんど縁が無かったようです。でも元々優しいので、猫も犬も鳥も懐きます。

 

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いつもこんな感じでこたまとしょうたに懐かれてました。

 

浜松動物保護センターでも、初対面と思えないほどしょうたは私たちに違和感なく懐いてくれて、ああショコラの生まれ変わりに違いないって思いました。

 

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大好きなのぶ父さんがいなくなって、しょうたもこたまも悲しいに違いないです。引っ越しもなかなか慣れずに辛かったと思う。

 

でも私はこの子達のために生きるのです。

 

のぶの元には愛犬ラブちゃんが行ってくれたから、寂しくないよね。

 

day85 のぶへ

私は幸せだったよ。だから心配しないで。

 

心配性ののぶのことだから、私を心配して心穏やかになれないならごめんね。私は不幸なんかじゃない。のぶが居なくなって悲しいだけ。あの幸せな時には戻れないけど、その思い出で生きていくよ。

 

のぶがどれだけ私を幸せにしようと努力していたかはわかってる。本当にありがとう。だからこそ不在でさみしいけど、いまもずっと私を見守っててくれるんだよね。

 

のぶは病気に負けたんじゃなくて、もうこの世での修行を終えて次の場所での修行生活が始まったんだよね。もう痛くも辛くもないでしょう。修行頑張ってるんだろうね。真面目にやってるのが目に浮かぶよ。

 

毎日、のぶとの思い出を辿っているよ。いつもそばにいると思ってる。ありがとう。これからもよろしくね。

day84 日曜日

12回目の日曜日。

 

毎日毎日、のぶとの思い出をたぐっている。行った場所、食べたご飯、喋った事…。

 

大丈夫な時もあるけど、思い出すと辛い時もある。思い出に対してウフフと笑える時もあるし、失ったものの大きさに絶望することもある。

 

特にのぶが亡くなった日曜日と前の日の土曜日は気持ちが落ち込む。あの土日に自分があんな行動を取らなければ、のぶは死ななかったんじゃないだろうか?それを考えると、必ず、いや私の行動などのぶの人生には関係なく運命は変わらなかった、と自分を庇うような考えで自助している。

 

どっちが正しいかは永遠にわからない。

 

ずっとTVとか内容があまり頭に入ってなかったけど、最近、誰かの死の話や辛い人のドキュメンタリー見ると泣ける。自分と同一視してしまう。

 

何かのフェーズに突入したのかな。もともと春〜梅雨は憂鬱。いつもは何か楽しい計画を立てて乗り切ったけど、もう私には楽しみがない。予定もなく生きていかなきゃならない。それが人生なのか。

 

day83 土曜日は寅さん

以前、BSテレビ東京で、土曜日の夜に毎週寅さん(男はつらいよ)を放送していたと思うのですが、のぶは良く見ていました。

 

寅さんはのぶの憧れの人で、何にも縛られない自由な生き方(でもおいそれと真似できない)寅さんが理想の生き方だったようです。

 

柴又はもちろん、寅さんが旅をした日本中の観光地のいくつかに、独身時代にひとり旅で尋ねていたとか。ちなみに浜名湖もちょっと舞台になっている回もありました。

 

2012年3月25日に、一緒に柴又に行っています。9年前なので、まだ結婚前ですが、のぶは自分の好きな場所を私に紹介したかったんだろうな。思ったより柴又は小さな街で、沿線の電車も東京とは思えないほどローカル線ぽかった。私は大都会はせわしなくてもう住みたくないけど、この辺なら住んでも良いかも(25年くらい前に墨田区に1年くらい住んでいました)。

 

その日は両国に泊まり、次の日は新宿末広亭で落語を見ました。すごく渋い東京旅行でした。ああ、これがのぶの愛する場所なのね。

 

のぶは今頃、寅さんのように日本中を旅しているかな。柴又で草団子を美味しそうに食べる姿は今でも瞼に焼き付いてる。ホント、自由になれてよかった。のぶには自由が似合うよ。私も行きたかったけど、まだ行っちゃダメだね。一人旅を楽しみたいよね。いつかそっちに行くから、またいろいろ連れってって。

 

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day82 とんかつ/かつ丼

とんかつやかつ丼ものぶの好物。うちは賃貸マンションでキッチンが狭くて揚げ物はやらない派。のぶの社食での平日ランチは待たずに食べられるバリューランチ(定食)だったので、揚げ物は土日の外食でないとできない決まりでした(たまに社食にとんかつ和幸のランチが出るそうですが、大行列で昼休みがつぶれるので避けていたそう)。

一番良く行ったのは、チェーン店のかつやか、かつさと(愛知県のとんかつチェーン店)。どっちもかつ丼500円前後と、信じられないほど安い。私は自分一人ではランチにとんかつやかつ丼はまず選ばないので、ここに関してはのぶに連れて行ってもらった世界かなぁ。

藤屋(遠州浜店)

藤屋は、浜松にたくさんあるお蕎麦屋さんです。のれん分けされているので各店は経営も内容も全然違います。遠州浜店もお蕎麦屋さんでそれこそメニューは100種類くらいありますが、ここはかつ丼一択です。とんかつ定食もありますが、絶対かつ丼です。蕎麦屋かつ丼を超えています。味噌汁と漬物とデザートのアイスつきでたった750円です。専門店かと思うほど厚くやわらかいカツに、蕎麦屋の出汁。ああ、思い出すだけで、のぶが美味しいと言って食べる顔が浮かびます。このために、車で30分かけて何もない遠州浜まで行きました。作っているのが寡黙なおばさん、運んでくるのがお喋りなおじさん。ご夫婦2人でやっているお店で、「かつ丼が美味しい店」と紹介されなければ入らないまずお店かもしれません。仲良くお店をやるご夫婦っていいよな…いつまでも続けてほしいです。

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幸楽

街中にある老舗とんかつ屋。入口が一間くらいの細長いお店で、とんかつ定食(ロース/ひれ)は松竹梅の3種類あるけど、梅でも十分ボリューミーです。厚くて火の入れ方が絶妙。みな黙々と黙って真剣にとんかつと向き合っている(皆感動して味わっているんだろうな)のが印象的。のぶも感動したって言ってた。

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とん唐てん

前に沖縄物産店だったので、建物が沖縄風です。こちらはとんかつと親子丼のお店で、どれも美味しいけど、感動したのがとんかつ定食。低温でじっくり揚げるので、ほとんど色がつかない、ベージュのとんかつです。中のお肉はとてもやわらかく、女性や子供でもバクバク行けます。サラダやお漬物も品が良く女性向け。夜だけの一品メニューも凝っていておいしそうです(夜は行ったことないけど)。白い親子丼が「マツコの知らない世界」で紹介されました。あー浜松は美味しいお店が多い!

 

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とんひろ

お店が大正ロマンっぽい建物ですごく素敵。平日でもランチはいつも混んでいて、駐車場がいっぱい。女性が好みそうなおしゃれな感じで、お値段もそれなりだけど、ランチならお手頃。土日はお得なランチがないので、のぶとは2度くらいしか行けませんでした。



とんかつ八兵衛

のぶのリクエストで、去年末に行きました。大型店でファミリー向け、いろんな種類のソースやスパイスがあって、飽きずに食べられた。ここがのぶ最後のとんかつだったと思います。



のぶとはほんといろいろなところに食べに行きました。2人は趣味は違えども、美味しいものを食べ歩くのが好きという共通点がありました。いろいろ行けて良かったです。しあわせな時間をありがとう。いつかまた一緒に行けたら良いね。のぶのとんかつガッツリ食べる姿が大好きでした。

day81 エイプリルフール

今日は4月1日。神様〜のぶがいなくなったのは冗談だと言って!

 

先日、姉に、のぶが俳優の近藤芳正さんにそっくりだと言われて初めてハッとしたよ。

 

なぜ気がつかなかった!

 

そういや似てるよ。

 

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