まごころのぶ

2021年1月10日に急逝した愛する「のぶ」の生きた足跡です

day98 洗濯物、サイレン

14回目の日曜日。珍しく晴れていて、気温も湿度も一年で最も過ごしやすいような日だ。

 

11:45、目を閉じて祈る。どうか安らかに眠れていますように。のぶが苦しむことがありませんように。いつもの日曜日と同じく、ラジオからは安住さんの声。それが日常だった。変わらないと思っていた。

 

お天気が良く、風が心地よく、洗濯物がよく乾く。浜松のマンションのベランダで洗濯物を取り入れていたのが私の日常だった。

 

近くに遠州病院があったため、しょっちゅう救急車のサイレンが聞こえていた。ベランダで洗濯物を取り込むときは必ずサイレンが聞こえていたろうな気がした。夏の刺すように強い日差しだったり、冬のホッとする暖かい日差しだったり、いい香りの洗濯物を抱えて、幸せなはずなのにいつも不安になった。この幸せはいつまで続くのだろうと懐疑的になった。サイレンのせいだろうか。あのサイレンは私の頭の中で鳴っていたのだろうか。いつも泣きそうになった。

 

あの日、のぶが亡くなった日、晴れの日曜日だった。のぶは洗濯をし、ベランダに干した。それから数時間後に救急車のサイレンが響き、のぶが搬送され、さらに数時間後、私はベランダで乾いているけど冷え切ってしまった洗濯物を取り込んだ。

 

そんなことする必要があったのか?しなければならなかったのか?死ぬほどつらい気持ちで洗濯のことを考えなくてはならなかったのか?

 

私もいなくなってしまいたかった。でも私はいまだに生きている。洗濯をしながらも、居なくなったのぶのことを考えている。